近所のおばあちゃん

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近所のおばあちゃん

私の家は、御旅所の斜め向かいにある。 そこへ、毎朝拝みにくるおばあちゃんがいた。 靴底で道を擦るように歩いている。体のあちこちが悪いようで、見ていて不安になる歩みだった。 私は会うたびに挨拶をしていて、そのしわくちゃな笑顔に癒されていた。 しかし、ある日を境におばあちゃんを見ることはなくなった。 「ああ、佐竹のおばあちゃんね……」 母親に尋ねてみると、脳卒中で倒れ、入院しているのだという。合併症も危ぶまれ、危険な状態なのだとか。 私は久しぶりに御旅所に行って、祈った。 神様、お願い。私は全然信心深い人間じゃないけど。でも、あのおばあちゃんは毎日あなたを拝むような人です。 どうか助けてあげて。
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