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「見た目も中身もチャラい自分を演じた。私服の高校だったから髪伸ばして染めて、渋谷にナンパしに行って。チャラい髪も服も本当は嫌だから鏡を見たくなかったし、ナンパも夜遊びも全く楽しくなかったし、俺何やってんだろ?ってずっと思ってたよ。でもそうしたら周りに人が集まってきて・・・これでいいんだって無理矢理思うようにしてた。ばあちゃんとはなんだか気まずくてあんまり話せなくなっちゃって。一度そうなると前の自分には戻れなかった。」
「それで今に至る、と。」
「そう。でも外ではそういう自分を演じていても、実際はこういう家が落ち着くし、酒より日本茶飲みたいし、朝は早く起きてラジオ体操してるし、流行りスポットなんて行かず寄席に行くし。恋愛も興味ないんだ。近づいてきた女性は本来の俺を知ると離れていく。」
「だからとっかえひっかえしてるみたいに見えたんですね。ギャップ萌えしちゃう女子もいそうですけど。」
「更科はギャップ萌えしてるの?」
「ぶっ!?」
大学芋が喉につまりそうになった。
「大丈夫!?」
先輩は慌ててこちらに来ると私の背中を叩く。涙が出てきた。
「・・・もしかして図星だったとか?」
背後から言われたその言葉にギクッとする。
「そ、そんなわけないですよ!先輩が変なこと言うから驚いただけですから。」
背中を何度か叩いてくれた後、先輩はそのまましばらく背中を撫でている。
「先輩?もう大丈夫ですよ。ありがとうございます。」
「あっああ!そっか、よかった。あ!お茶なくなったな。」
先輩は慌ててキッチン───というより台所と言った方が良さそうだ───に入っていった。
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