160人が本棚に入れています
本棚に追加
壁にかけられた鳩時計が23:59を示した途端、明日先輩が立ち上がった。
「・・・見てて。」
神妙な様子で言われる。
───まさかとは思うけど。
1分は待っていると結構長かった。変な緊張で苦しくなった頃、突如先輩の体が白く光り始めた。光はどんどん強さを増していく。眩しくて目を開けていられずに閉じてしまい、まぶたの外が暗くなったと同時に目を開く。そこにいたのはぶかぶかの半纏を身につけた男の子だった。
「・・・!?」
この男の子が先輩だなんてあるわけがない。理由はわからないが私にドッキリを仕掛けたのだ。眩しくして私が目をつぶるようにしてその間にすり変わったに違いない。こたつの中をのぞいてみるがそこには先輩の姿はなかった。素早く別室やトイレに隠れたのだろう。ベランダかもしれない。
───親戚の子だか誰だか知らないけれど、こんな夜遅くに子どもを引っ張り出したりして・・・。
そう思って再び男の子に目線を戻したところ彼が口を開いた。
「・・・俺だよ。ここには俺たち二人しかいない。」
声は子どもだったけれど、とても子どもとは思えないような話し方に違和感を感じた。よく見るとアイドルグループの後で踊っていてもおかしくないような結構な美少年だ。明日先輩の面影もある。
───でもまさか・・・。
最初のコメントを投稿しよう!