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休憩室のテーブルに向かい合う。目の前には同じプレミアムコーヒー。ちょっとお高いので地方から出てきて一人暮らしの身には普段は手が出ないものだ。しかし、飲んでみても違いがわからなかった。そう、私こそ『違いがわからない女、更科 菘、26歳』である。
「・・・そうですか。毎日夜中の12時までにキスしないと20歳若返って8歳の小学生になっちゃうんですか。それは大変ですね。夜中の12時になると魔法がとけちゃう女の子と逆で魔法にかかっちゃうんですね。」
「そうなんだ!俺も信じられなかった。そんな漫画みたいなこと・・・。」
「ふ、ふふふ・・・ふふふ・・・。」
「更科?麩がどうかしたか?」
「こんな遅い時間にわざわざ聞いて損した!つくんならもっとましな嘘ついてください。どうせたまたま私がいたから気まぐれであんなことしたんでしょ?訴えられたら面倒だから困ってるふりなんかして。演技上手なんですね。そうやっていろんな女性と楽しくやって来たんでしょう?社内の女性、全員に手を出してコンプリートしようとでもしてるんですか?」
「違う!本当に・・・!」
「私、元々先輩のこと嫌いでしたけど、今日超絶大嫌いになりました。では、失礼します。これ、ごちそうさまでした。」
怒りに任せてホットコーヒーを一気飲みすると、喉が熱かった。先輩の前でむせたくないのに、ゲホゲホとしてしまう。涙まで滲んできた。
「そんな風に飲んだら熱いだろ。」
先輩は紙コップに水を入れて持ってきてくれた。
「・・・ゲホゲホ、どうも、でも今更優しいふりしたって挽回出来ませんからね。」
「・・・信じられないなら明日見せるから家に来て。」
あまりに真剣な声と眼差しで言われて、気づいたら『わかりました。』と頷いていた。イケメンとイケボの圧おそるべし。
ずるい。やっぱり明日先輩なんか超絶大嫌いだ。そしてすぐにほだされてしまう自分も大嫌いだ。
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