5 days until □ ◇◆ Ihatopu.

2/3
前へ
/10ページ
次へ
 ルッツが消えた日から。  なにかが、おかしい。  わたしは首筋に嫌な汗をかきながら、嫌な考えを払拭するように声を絞り出す。 「ねぇ、マイラ」 「な、なに」 「やっぱり、黒い空に消えたんだよ」  ヨーヨー羊の毛を刈るディグの手は、止まらない。 「そんなこと、な」  い、と言おうとしたわたしの視界に。  ザザ、ザザザザと、黒いノイズが走る。  わたしは慌ててディグを見る。  ヨーヨー羊の毛を刈る手がグニャリと揺らぎ、所々消えていた。 「マイラにもきたんだね、黒い空の誘いが」 「黒い空の……誘い……?」 「うん。呼び名をつけたのは、僕じゃないけれど」  ジョリジョリ、ゾリゾリ。  ヨーヨー羊の毛を刈る手を、同じ動きを繰り返す手を、わたしはみつめる。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

51人が本棚に入れています
本棚に追加