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【 第16話: 夫婦の契り? 】
結局、俺はまともな食べ物を食べることができず、空腹とも戦わなくてはならなかった……。
『グゥ~ッ……』
「(う~、腹減ったなぁ~……)」
婚約の宴は、とりあえず、滞りなく無事に終了し、会場に来て頂いた人たちを見送ると、『ダガヤ王』が満足そうに笑顔で俺たちの元へとやってきた。
「タロー王子、今日はありがとう。来てくれた者たちも大変満足しておったぞ」
「そ、そうですか……。こちらこそ、ありがとうございます。ダガヤ王……」
「んっ? もう、ダガヤ王ではなく、お父さんと呼んでくれて良いのじゃぞ」
「あっ、お、お、お父様……。ありがとうございます」
「はっはっはっ、今日は長旅で疲れたであろう。ゆっくりと、ミャーと一緒に休まれるがよい」
「ミャ、ミャー姫と一緒に……? ですか……?」
「何を言っておる。当たり前じゃろう。お前たちは、もう婚約したのだから、今夜にでも夫婦の契りを結びなさい」
「へっ……? ふ、夫婦の契りをですか……?」
「そうじゃ。お前たちは、もう夫婦となるのじゃから」
俺は、咄嗟にミャーの方を見た。
ミャーは、顔を真っ赤にしている……。
モジモジもしちゃってる……。
こ、これは、本格的にまずい……。
俺は、ダガヤ王に、こう念押ししてみた。
「で、でも……、ミャー姫はまだ15歳です……。それに、俺は、32歳のおっさんです……」
「歳の差なんか気にする必要はない。それに、ミャーはもう成人女性なのだから、今夜にでも結びなさい」
俺はちょっと照れくさそうに、右手でぽりぽりと頭を掻きながら言う。
「そ、それは、さすがにちょっと……」
「タロー王子よ。この先、将来、お主がこの国の王を継ぐことになるのじゃぞ! そんなことで、怖気づいてどうする!」
「えっ……? お、俺がこの国の王を継ぐ……?」
「ああ、そうじゃ! そういう覚悟で、あの言葉『De Lau Myar』と言ったのであろう!」
「え、え、えぇーーーーっ!! (何でそうなるのぉーーーーっ!!)」
俺は、あまりの衝撃で、頭を抱えたまま、顎が外れてしまった……。
『ガコッ!』
「い、痛てっ!!」
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