【 第24話: 朝のトマトジュース 】

1/1
前へ
/64ページ
次へ

【 第24話: 朝のトマトジュース 】

「タロー? タロー、起きてにゃ。タロー、朝だにゃ」 「んん~……? あ、朝……?」 「そうだにゃ。もう、朝だにゃ」 「んん~……、え、ええぇーーーーっ!! 朝ぁーーーーーーっ!!」 『ガバッ!』  俺は、ビックリして素早く上半身を起こした。 「お、俺……、あのまま、寝ちゃったのか……?」 「そうだにゃ。タロー、ミャーがペロペロ鼻血舐めてたら、そのまま白目向いて寝ちゃったにゃ」 「マ、マジか……」  俺は、うかつだった……。  俺は、一番の山場で、意識を失い、そのまま寝てしまったのだ……。 「タロー、ごめんにゃ。昨日、ミャーがタローの生き血を吸ったのと、鼻血が何回も出ちゃったから、多分、貧血になっちゃったにゃ」 「ひ、貧血……?」  そう、俺は、最大の山場で、貧血になり、そのまま意識を失ってしまったのだ。 「(俺は、何という失態をしてしまったんだろう……。一番いいところだったのに……)」  ふと、ミャーの方を見ると、ミャーの着ているバスローブが昨日よりもはだけていた。  そのミャーのふっくらとした胸の谷間がはっきりと見えている。  それに気付いたミャーが、恥ずかしそうにそれを直す。  そして、また、胸の前で猫ニャンニャンの手でワチャワチャし始めた。  何かを要求されている……。  その様子を見た俺は、ミャーの両肩をガシッと両手で(つか)んだ。  今こそ、男としての威厳(いげん)を見せるんだ。  すると、ミャーは、ハッとした様子で、俺の顔を見ると、俺の胸に飛び込んできた。 『ガバッ』 「(ふふふ……、何てかわいいやつなんだ……。所詮(しょせん)、まだまだ15歳の子猫ちゃんだな……)」 『カプッ! チュ~、チュ~、チュ~……』 「んっ? チュ~チュ~……? 痛てててててぇーーっ!! や、やめろ! やめてくれぇーーーーっ!!」  俺は、ミャーに朝から思いっきり、生き血を吸われていた……。  ミャーが俺に要求していたものは、これだったのだ……。  俺は、またしても貧血で倒れた……。 『ポテッ』 「タ、タローーーーーーッ!!」
/64ページ

最初のコメントを投稿しよう!

60人が本棚に入れています
本棚に追加