【 第27話: 誓いのキスだにゃ♪ 】

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【 第27話: 誓いのキスだにゃ♪ 】

「さあ、タロー王子よ。『誓いのキス』を」  もう、後戻りなんてできない……。  ここは、もう覚悟を決めて、ミャーとキスするしかない。  俺は、顔を少し傾け、ミャーの顔に近づけた。 「(ミャー、今日は一段といい香りがする……。温かいミルクのような香りだ……)」  俺は、目を(つむ)り、ミャーのそのかわいらしい小さな唇に、そっとやさしく触れた。 「(や、柔らかい……。癒される……。実に、いい感じだ……)」  すると、ミャーは積極的に、俺の口の中を責めてきた。 「(んっ? な、何だ……。妙に、積極的だな……。気分でも乗ってきたか……?)」  しばらくすると、俺は、自分の舌に違和感を覚えた……。 「(あれっ? 何か……、舌が(しび)れるぞ……。あれれっ? 舌の感覚がなくなっていく……、どうしてだ……)」 『チュ~、チュ~、チュ~……』 「(い、痛で……。こ、こいつ、キスしながら、俺の舌から血吸ってやがる……)」  すると、それに気付いたダガヤ王が、ミャーをこう援護する。 「タロー王子よ。もう少し我慢するのじゃ」 「(が、我慢って、俺、血吸われてるんですけど……。ちょっと……)」 『チュ~、チュ~、チュ~……』 『スポンッ!』 「はぁ、はぁ、はぁ……」  俺は、舌から血が流れ出していた……。  ミャーの口元は、俺の血で真っ赤に染まっている……。  ミャーは、それを自分の舌で、ペロリと舐め取った。  狂ってる……。  こいつら、狂ってる……。  今後、俺は、ミャーとキスする度に、血を吸われなきゃならないのか……?  俺は、この命がけのキスに、体がいつまで持つのか、それがとてつもなく不安だった……。
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