【 第32話: 精力つけろ!? 】

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【 第32話: 精力つけろ!? 】

「タロー様、こちらが今日のメインディッシュとなります」 「あ、ありがとう……、グリフ……」  な、何だ……。またこの得たいの知れない食べ物は……?  上に赤いソースがかかっているが、この形には見覚えがある……。  黒い丸みを帯びた胴体。そこから出ている毛の生えている8本の足。  そして、小さな沢山の目……。これは、きっとやつに違いない……。 「あれっ? タロー、『タランチュラの血液ソースがけ』食べないのかにゃ?」  やっぱり、そうだった……。  こんなの食べる訳ない……。お前らには大好物なんだろうがな……。 「タロー、また『あ~ん』してあげるにゃ」 「(こ、こいつ……、また、余計なことを……)」  俺は、参列者を見る。  また、皆、急に動きを止めて俺たちを見ている……。  これは、まずい……。  またしても、逃げられないぞ……。  どうする……? タローよ……。 「はい、タロー。おいしいにゃ。『あ~ん』するにゃ」 「あ、あ~ん……。パクッ……」 『モグモグモグ……』 「(あ~、何か汁みたいの出てきちゃてるし、足の毛が気持ち悪っ!)」  俺は、皆の視線を浴びながら、一気にそれを飲み込む。 『ゴクリ……』  そして、俺は一言こう言った……。 「ミャー、ありがとう。おいしいよ……」  すると、参列者はそれを待っていたかのように、大きな歓声を上げて、俺たちを温かく祝ってくれた。 『ワ~ッ! パチパチパチパチパチ……』  あれっ? これって、昨日も、同じようなことを経験したような気がする……。  すると、ダガヤ王が俺の姿を見て、こんなことを言った。 「我息子、タローよ。それを食べれば、今晩の『新婚初夜(しんこんしょや)』は燃え上がること必至じゃの」 「(新婚初夜……?)」  俺は、慌ててミャーを見る。 「(あぁ~、マジか……。やっぱり、赤い顔して、またモジモジっちゃってるじゃねぇかぁーーっ!!)」
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