【 第35話: 目覚めの一杯♪ 】

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【 第35話: 目覚めの一杯♪ 】

 翌朝、俺はまたミャーの言葉と、体を揺らされる感覚で目を覚ました。 「タロー、おはようにゃ。起きてにゃ、ねぇ、タロー。ねぇってばぁ~」 「ん、んん……、あ、あれっ……、俺、またいつの間にか寝ちゃってたのか……」  ミャーを見ると、そのかわいいほっぺをプクッと膨らませて、少し不機嫌そうだった。  無理もない。新婚初夜に、俺は意識を失い、寝てしまったのだから……。  俺は、精一杯の明るい声で、ミャーにこう声をかけた。 「ミャー、おはよう! き、君とこんな風に朝を迎えられるなんて、こ、こんな光栄なことはないよ……」 「何か、タロー、わざとらしいにゃ」 「そ、そんなことは、な、ないよ……。こんな素晴らしい妻をもらって俺は、最高に幸せ者だ……」 「ホントにゃ?」 「ああ、ホントにゃぞ……」  ミャーは俺の顔をじーっと見つめ、すぐにいつものかわいらしい笑顔に戻って、俺に抱きついてきた。 「タロー、ありがとにゃ♪」 「あ、ああ……」 『チュ~、チュ~、チュ~……』 「(ああ~、こいつまた俺の血を吸ってやがる……。でも、耐えるんだ……。こいつの機嫌が直るなら……。踏ん張れ、タロー……)」 『チュポン!』 「あっ、ゴメンにゃ、タロー……。また、血ぃ吸っちゃったにゃ……」 「あ、ああ、いいんだよ、ミャー……。朝の一杯、おいしかったかい……?」 「うん♪ タローの血、大好き♪」 「そ、それは、良かった……。はははは……。グリフ、グリフ~? な、何か栄養になるもの持って来てくれないかぁ~……」 『バタッ……』 「タ、タローッ!!」  俺は、またしても意識を失い、夢の中へ逆戻りしていった……。  ――その後、再び目を覚ますと、いつの間にかダガヤ王が俺の枕元に来て、心配そうな顔をしていた。 「お、お父様……」 「タローよ、昨日は激しい新婚初夜だったのであろう……。よっぽど、疲れたのじゃな。今日は、ゆっくりと休むがよい」 「えっ……?(い、いや、違うんだけどさ……。俺、こいつに血ぃ吸われちゃったのさ……。あんたの吸血娘にさ……)」  安心したダガヤ王は、それ以上何も言わず、黙って部屋から出て行った。  まだ、ミャーとの新婚生活は始まったばかりだ。  この先、どんなことが待ち受けているのか、俺は、それを考えると、末恐ろしくなった……。 「ちいとにゃあ、大人ししとらんと、ええころかげんに、やられちまうがや……(訳:少しの間、大人しくしていないと、いい加減に、やられてしまうよ)」
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