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【 第39話: イケメン?エイト公 】
『パッカ、パッカ、パッカ、パッカ……』
ダガヤ王は、ヤーシブ国のエイト公一行をお城の中に招き入れた。
近くで見る『エイト公』は、思いの他、背が高く、鼻の高いグリーンの目をしたイケメンだ。
白馬を華麗に降りると、兜を取り、ウェーブの効いたグレーの長髪を靡かせ、切れ長の目でミャーを見つめながら、こう言った。
「ミャー姫、お久しぶりです。今日は、一段とお美しい」
そう言って、左手に兜を抱えながら、ミャーに近づいていき、右手を出して握手を求める。
だが、ミャーは、プイッと顔を背け、両手を胸に当てて、握手を拒む。
その姿を見たエイト公は、すかさず、ニヤリと白い歯を見せながら笑い、こう言った。
「ふふっ、相変わらず、ミャー姫は身持ちがお堅い方だ」
「(な、何っ……!? ミャーは身持ちが堅いだと……。全然そんなことなかったけど……。むしろ、ガンガン自分から求めてたぞ……。どういうことだ……)」
俺はエイト公の言葉に、ミャーとこいつの顔を交互に2度見する。
「ダガヤ王、お久しぶりでございます。お城に招いて頂きありがとうございます」
「ああ、久しぶりじゃな。エイト公よ。ここでは、なんだから、中に入って話そう」
「ありがとうございます」
そう言って、俺たちはエイト公一行を受け入れ、お城の中へと入って行った。
よくよく見ると、こいつにもグレーの髪から、犬のようなピンと立つ耳と、お尻からは、ミャーよりも少し太めの毛並みのいい尻尾がある。
しかし、エイト公……。こいつ、かなりのいい男だ。
男の俺でも、あいつのキラリと光る綺麗なグリーンの瞳にやられちまいそうだ……。
ミャーはこんな美しい男がいるのに、何故、俺みたいなずんぐりむっくりな32歳のおっさんを選んだんだ……。
応接部屋へ入り、柔らかそうな高級な革張りの応接椅子に座り、話し合うことになった。
「さて、エイト公よ。今日は、どのような用件なんじゃ?」
「はい。今日は、ミャー姫にプロポーズをしに参りました」
俺が口を開くよりも速く、ダガヤ王が一足先にこう言った。
「エイト公よ。残念ながら、ミャーは既に名古屋国の王子、そこにいるタローと昨日結婚をしておるのじゃ」
「はい。そのことは伝令の者より伝え聞いております。それでも私はミャー姫を愛しております。ミャー姫を是非、私の妻として迎え入れたいのです」
「な、な、俺と既にミャーは結婚しているんだぞっ!」
「それは分かっていますよ。タロー王子。だからこそ、こうやってお願いしにここに来たのです」
『ガバッ!』
それを聞いたミャーが急に座っていた椅子から立ち上がって、エイト公を怖い顔で睨みつけていた……。
俺は、全く訳が分らず、口がポカ~ンとだらしなく開いていた……。
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