60人が本棚に入れています
本棚に追加
【 第40話: 政略結婚? 】
「ミャーは、あなたと結婚はしないにゃ!」
どういうことだ……。
こんな美しいイケメン王子に心がなびかないミャーは、ある意味すごいやつだ……。
「ミャー姫、昔はあんなに一緒に色々なところへ出掛けて、デートを重ねたではありませんか」
「(な、なぬっ!? デートしてたの……? 二人は……)」
「あ、あれは、もう過ぎた過去のことにゃ……! 今は、ミャーはタローと結婚して、幸せなんだにゃ!」
「はははは……。ミャー姫、ご冗談を。あんなに私にゾッコンだったではないですか。それなのに、どうして急に?」
「わ、私は……、あなたに、弄ばれたんだにゃ!!」
「(も、弄ばれた……?)」
俺は、自分の耳を疑った……。
ミャーは、赤い顔をして下を向き、大きな目をぐっと閉じて、涙を堪えている様子。
エイト公の方を見ると、まだ何やら不敵な笑みを浮かべながら、ミャーを見つめている。
「私はミャー姫を弄んだりはしておりません。私はいつでもミャー姫のことだけを考えております」
「そ、それは嘘だにゃ!」
「嘘ではございません。私は、誰よりもミャー姫を愛しております」
すると、ミャーは、涙目になりながらも、エイト公を睨みつけると、一つ大きく息を吸い込んでから、こう叫んだ。
「あなたは、何人もの女性にそうやって口説いてるにゃ!! 現に、あなたは、他の国の王女と何人も結婚していたじゃにゃい!!」
そのミャーの一言で、一瞬にして応接室が静まり返った……。
エイト公は、他の国の王女と結婚していたというのだ。
そんなことが、この国ではできるというのか……。
地上では、それは『重婚』ということになるが……。
「ミャー姫、他の国の王女とは確かに結婚はしています。でも、私が本当に愛しているのは、ミャー姫、あなた一人です」
「そんなの信じられないにゃ!!」
「いつでも愛しているのは、ミャー姫だけです。他の王女とは、単なる『政略結婚』に過ぎません。ミャー姫、私はあなただけを愛し続けているのです」
このエイト公というやつ……、イケメンでありながら、口もうまく、政略結婚で何人もの女性を妻に持つなんて……。
何て羨ましいやつなんだ……。
俺は、そんな下世話なことを考えてしまっていた。
最初のコメントを投稿しよう!