【 第40話: 政略結婚? 】

1/1
前へ
/64ページ
次へ

【 第40話: 政略結婚? 】

「ミャーは、あなたと結婚はしないにゃ!」  どういうことだ……。  こんな美しいイケメン王子に心がなびかないミャーは、ある意味すごいやつだ……。 「ミャー姫、昔はあんなに一緒に色々なところへ出掛けて、デートを重ねたではありませんか」 「(な、なぬっ!? デートしてたの……? 二人は……)」 「あ、あれは、もう過ぎた過去のことにゃ……! 今は、ミャーはタローと結婚して、幸せなんだにゃ!」 「はははは……。ミャー姫、ご冗談を。あんなに私にゾッコンだったではないですか。それなのに、どうして急に?」 「わ、私は……、あなたに、(もてあそ)ばれたんだにゃ!!」 「(も、弄ばれた……?)」  俺は、自分の耳を疑った……。  ミャーは、赤い顔をして下を向き、大きな目をぐっと閉じて、涙を堪えている様子。  エイト公の方を見ると、まだ何やら不敵な笑みを浮かべながら、ミャーを見つめている。 「私はミャー姫を弄んだりはしておりません。私はいつでもミャー姫のことだけを考えております」 「そ、それは嘘だにゃ!」 「嘘ではございません。私は、誰よりもミャー姫を愛しております」  すると、ミャーは、涙目になりながらも、エイト公を睨みつけると、一つ大きく息を吸い込んでから、こう叫んだ。 「あなたは、何人もの女性にそうやって口説いてるにゃ!! 現に、あなたは、他の国の王女と何人も結婚していたじゃにゃい!!」  そのミャーの一言で、一瞬にして応接室が静まり返った……。  エイト公は、他の国の王女と結婚していたというのだ。  そんなことが、この国ではできるというのか……。  地上では、それは『重婚(じゅうこん)』ということになるが……。 「ミャー姫、他の国の王女とは確かに結婚はしています。でも、私が本当に愛しているのは、ミャー姫、あなた一人です」 「そんなの信じられないにゃ!!」 「いつでも愛しているのは、ミャー姫だけです。他の王女とは、単なる『政略結婚(せいりゃくけっこん)』に過ぎません。ミャー姫、私はあなただけを愛し続けているのです」  このエイト公というやつ……、イケメンでありながら、口もうまく、政略結婚で何人もの女性を妻に持つなんて……。  何て(うらや)ましいやつなんだ……。  俺は、そんな下世話(げせわ)なことを考えてしまっていた。
/64ページ

最初のコメントを投稿しよう!

60人が本棚に入れています
本棚に追加