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【 第41話: ミャーとエイトがキス? 】
「ミャー姫、私はあなたとヤーシブの丘で、初めてキスをしたことを、今でも忘れることはできないのです」
「それは、言わにゃいで!! それは……。タローの前では、言わにゃいで……。ふうぅ……」
ミャーは、椅子に崩れるように座り込むと、手を丸めて瞼を押さえていた。
どういうことだ……。
ミャーは、エイト公と付き合っていたのか……。
俺は、ミャーとエイト公が昔、キスをしていたという事実に、ショックを隠しきれなかった……。
すると、ミャーの様子を見ていたダガヤ王が、こう口を開いた。
「お主たちが、昔付き合っていたことは知っておる。だが、ミャーはもう、タロー王子と結婚をしたのじゃ」
「ダガヤ王、私はそれでもいいのです。私とミャーの結婚をお認めになっては頂けないでしょうか」
「ミャーは、どうなんじゃ?」
「わ、私は、嫌にゃ……。4番目の妻なんて嫌にゃ……」
「ミャー姫、昔はあんなに私に夢中だったのに、どうして急に気が変わったのですか?」
「あなたには、私よりも綺麗な奥様が3人もいるじゃにゃい……。私は……、私は、タローのことが大好きにゃの!!」
「(お、おお~♪ 嬉しいこと言ってくれるじゃないか、ミャーのやつ)」
「ミャー姫、どうしても、私のプロポーズを受けてくれぬか?」
「絶対に嫌にゃ!!」
ミャーは、そう言うと、俺たちの座っている長椅子で体を寄せてきて、俺の右腕をギュッと掴み、抱き付いてきた。
俺も、ミャーの両手をやさしく左手で守るように覆った。
その姿を見たエイト公は、急に顔色を変え、スッと立ち上がると、いきなりこう叫んだ。
「ミャー姫、タロー王子……、この決断が、後で大変な事態になるかも知れぬぞ! それでもいいのだな!!」
「それでもいいにゃ!!」
「ふふっ、そうか、よく分かった……。後で後悔しても、私は責任持たぬぞ!」
エイト公は、そう言うと、真剣な表情で部屋を出て行った。
『ヒヒ~ンッ!』
「よし! 皆の者、国へ帰るぞ! 戦闘の準備だ!! 門を開けろ!!」
『ギギギギギギ……、バタンッ!!』
「行くぞ!!」
「(ハハーーッ!!)」
『パッパカ、パッパカ、パッパカ、パッパカ……』
俺は、エイト公たちの立ち去る後姿を見つめながら、この先のことがとても不安に思えた……。
このままでは、ヤーシブ国との争いは避けられないと……。
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