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【 第42話: ニヤ国王子の誕生! 】
「うわぁ~ん! タロー、ごめんにゃ~……」
ミャーは、大声で泣いて、俺の胸に飛び込んできた。
無理もない。ヤーシブ国との争いになるのだから……。
だが、ミャーは、エイト公ではなく、俺を選んでくれた。
俺が、ミャーを守ってあげなければ、この国は滅びてしまうかもしれない。
だから、俺がミャーを、そして、このニヤ国を守っていかなければならないんだ……。
「わが息子、タローよ。これは、ニヤ国にとって最大の試練の時がきたようじゃ。お主は、どうする?」
「どうするとおっしゃいますと……?」
「このまま、名古屋国へ帰ってもよいのじゃか……」
それは、ダガヤ王からの最大の俺に対する配慮だった。
しかし、俺は、今、名古屋国へ一人逃げ帰って、ミャーやこの国の人たちを、このまま見捨てるわけにはいかない。
俺の心は、決まっていた。
「俺は、名古屋国へは帰りません。ここに、このニヤ国に残って一緒に、ヤーシブのやつらと戦います! この国を一緒に守ります!」
「ありがとう。わが息子、タローよ。よくぞ言ってくれた。ヤーシブが攻め込んでくる前に、出来る限りの防御をしようぞ」
「はい! ダガヤ王!」
――そして、ダガヤ王は、騎士や民衆をお城の前に集結させた。
俺たちは、3階のバルコニーから、彼らに向かってこう宣言する。
「皆の者、よくぞ集まってくれた。これから、ヤーシブ国のやつらがこの国を攻めにやってくる。皆の力を結集して、この国をヤーシブから守って欲しい」
『ザワザワザワザワ……』
「良いか! 皆の力で、このニヤ国をヤーシブから、全力で守るのじゃ!!」
『オオォーーーーーーッ!!』
ダガヤ王の一言で、民衆は団結していた。
この争いの発端は、俺とミャーが結婚をしたことだから、俺にも原因はある。
そんな思いが俺の頭の片隅にはあった。
この大勢の民衆の姿を見ていて、俺は居ても立ってもいられなくなった。
「お父様、俺にも一言、民衆に伝えたいことがあるんですが、いいでしょうか?」
「ああ、構わんよ。好きにすればいい」
「ありがとうございます」
そして、俺は、民衆の前に立ち、こう叫んだ。
「皆の者ーーっ!! 必ずや、ヤーシブからこの国を守り、皆が平和に安心して暮らしていける、そんな国を一緒に作っていこうじゃないか!!」
『ワアァァーーーーーーッ!!』
『タローッ!! タローッ!! タローッ!! タローッ……!!』
それは、俺のニヤ国、王子としての始まりでもあったんだ……。
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