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【 第43話: 国力の違い 】
民衆に俺の思いを伝えると、早速、ダガヤ王が側までやってきて、こう口を開いた。
「タローよ。ワシはもう随分老いぼれた。この国を守るための指揮を、お主に託そうと思うが、それで良いな」
「は、はい! 俺に任せて頂けるならば、精一杯、力の限り、この国を守ってみせます!」
「では、任せたぞ。タローよ」
「はい!」
俺は、早速、グリフやこの国の幹部などを集め、緊急軍隊会議を開いた。
まず始めに、この国の兵力とヤーシブ国の兵力を比べ、どう対応していくかを決めることにした。
グリフからの情報によると、ニヤ国とヤーシブ国は、このような違いがある。
【ニヤ国】 【ヤーシブ国】
・人口: 約1万人 約20万人
・兵力: 約1千人 約2万人
・武器: 剣・盾・弓 剣・盾・弓
これを見比べても一目瞭然だった。
明らかに、ニヤ国の兵力は、ヤーシブ国の兵力に比べ、1/20の規模と劣っている。
武器は、『鉄砲』や『戦車』、『戦闘機』などの近代兵器はない。
『剣・盾・弓』と古代ヨーロッパの武器と同じ程度だ。
これではとても、ヤーシブ国に敵う訳がない。
俺には、この国を何として守るために、他に『秘策』が必要だった。
しかし、俺も、無闇にヤーシブ国の人たちを殺したり、傷つけたりはしたくない。
殺したり、傷つけたりすれば、ヤーシブに残された家族たちの心が傷つくだけだ。
争いによる死は、人の憎しみを増幅させるだけで、何もいいことはない。
「タロー様、ニヤ国の民衆全員戦闘に参加させても、ヤーシブ国の兵力には、まだ半分……。とても人数だけでは敵う相手ではありません。このままでは、わがニヤ国の人たち、何名の命が奪われるか分かりません。とてもこの国を守りきることは、難しいかと……」
「分かっている、グリフ……」
グリフの言った言葉が胸に刺さった。
俺の判断次第では、この国は滅びる……。
そして、ニヤ国に住む人たち全員、命を落とす可能性もある……。
俺は、悩んだ……。
ミャーやダガヤ王、そして、この国の人たち全員を守るための手段を……。
「(考えろ、タロー……。きっと、何かいい方法があるはずだ……)」
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