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【 第45話: 命を守るための作戦 】
俺はその作戦の全容を、机上で設計図として、書き記した。
それを見たグリフたちの士気も、徐々に上がっているようだった。
「グリフ、出来る限り多くの人を集めてくれ。そして、この設計図の通りにこれを作るんだ」
「分かりました。すぐに取り掛かります!」
「頼んだぞ、グリフ」
グリフは、すぐに民衆をお城へ集め、その大勢の民衆を前に、俺はこう叫んだ。
「いいか、みんな!! 昼と夜で、交代で作業にあたるんだ!! 今こそ、みんなの力が必要なんだ!! みんなでこの国を守って行こう!!」
「分かりました! タロー様! 俺たちタロー様のために一生懸命にこれを作りますよ!」
「ありがとう、みんな!!」
「俺たちやってやりますよ! この国を守るために! なあ、みんな!!」
「おおーっ!! やってやりますよ!! みんなの力でこの国を守るんだ!!」
『うおぉーーーーっ!!』
皆の目は輝いていた。
誰一人として傷つけずに、この国を守るために、皆の力強さは凄まじいものだった。
俺は、そのことに感動し、それと同時に、少し安心した気持ちもあった。
「グリフ、それでは、あとの指揮は頼んだぞ」
「分かりました。お任せ下さい」
「それじゃあ、俺は、ヤーシブへ行って最後の交渉をしてくる。もし、交渉が決裂しても、出来る限り、俺が時間は稼いでおく。その間に、準備をしておいてくれ」
「分かりました。どうか、タロー様もご無事で……」
「うん……」
俺は、グリフにそう言うと、何も武器を持たずに、馬に乗ろうとした。
その時、ミャーが泣きながら、俺の側まで走り寄ってきて、こう言った。
「タローっ! 一人で行かにゃいでっ!! 私も一緒に連れてって!!」
ミャーは、いきなり俺の背中に抱きつく。
こころなしか、体が震えているようだ。
ミャーのすすり泣く声も、背中越しに俺の体に伝わってくる。
でも、俺は決めたんだ。
この国の誰一人、死なすわけにはいけないことを……。
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