【 第7話: お姫様? 】

1/1
60人が本棚に入れています
本棚に追加
/64ページ

【 第7話: お姫様? 】

「うぅぅぅ……」 「(や、やべっ……、ちょっと強く言い過ぎちゃったかな……?)」  そこへ、突然、大きな木の裏に隠れていた、馬に乗った騎士のような姿をした男が現れた。 『ヒヒ~ン! パカパカパカ、ザザ~ッ!!』 「姫!! 大丈夫でございますか!! 貴様、我『ニヤ国』の『ミャー姫』に何をした!!」 「な、な、な、何だぁ……?」  俺はビビッていた……。  この立派な馬に乗った男は、大きな剣を腰にあるソードベルトから、スラリと抜くと、俺の首元辺りにやった。 「お、お、俺は、何もしてない……」 「していない訳ないだろう!! 姫は泣いていらっしゃる!! 貴様が、何かしたに違いない!!」 「してない、してない……、指一本触れて無い……。本当だ……、ミャーに聞いてくれ……」 「貴様ぁ~!! ミャー姫に向かって、呼び捨てとは、許さん!!」  その騎士のような男は、剣を大きく振りかぶった。  俺はもうやられると思った……。  しかし、その時、ミャーが突然俺の前に来て、背を向けながら両手を広げて、その男にこう叫んだ。 「グリフ、やめて!! このお方は、ミャーのフィアンセなの!!」 「えっ!? ひ、姫……、今何と……?」 「タローはミャーのフィアンセよ!!」 「ひ、姫のフィアンセですか……?」 「そう! ミャーのフィアンセ……。だから、お願い! その剣を元の(さや)に収めて!」 「こ、これは、大変失礼致しました……。ミャー姫……」  男は、そう言うと、その大きな剣を、ゆっくりと腰元の鞘に収めた。  ミャーは、俺の方へ振り返ると、涙目になりながら、いきなり俺に抱きついた。 「タロー、良かった……、無事で……。ふぅぅぅ……」  彼女は、俺の胸で泣いていた。  俺には、何が何だかこの状況が全く飲み込めていなかった……。
/64ページ

最初のコメントを投稿しよう!