alive

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ぶわっと、黒い何かが男の身体から飛び出す。男は恐怖に毛の一本を動かすことも出来ずに、その場に固まっていた。不思議と痛みはない。それどころか血の一滴すら流れてはいなかった。 「大丈夫か」 騎士が心配そうに男の顔を覗き込む。いやいや元凶はあんただよ。 「なに…今の…」 「君にとって良くないもの」 「意味わかんない…」 男は糸が切れたように地面に倒れ込んだ。安堵か、恐怖が限度を超えたのか。ただ、目に映った空が真っ青で、眩しいことだけが事実だった。持っている感情が絶望であろうと希望であろうと、現世であろうと意味のわからない世界であろうと、それだけが確か。 「眩しいな」 騎士も男の横に寝転ぶ。誰だか知らないし意味のわからない奴だけれど、何故か怖くはなかった。むしろ心がぽかぽかする。一緒にいることに、安堵する。 「うん…でも、憎らしい」 「どうして?」 「いつでも、青いから。打ちひしがれて死にたい日も、感傷に浸りたい日も、青いじゃん。雨が降ってもいつかは晴れちゃう。僕の人生に光はささないのに、必ず朝が来て空は青い。むかつく」 「…君の人生にも、晴れはあるだろう」 「ないよ。ない。いつかは晴れると思って努力し続けてきたけど、でも、そんな日は来なかった」 「だから、死んだ?」
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