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変な兄弟
クラウンの後部座席では、憂が膝を折って寝転がり、菓子の袋とゴミに囲まれながらiPadで映画を見ている。
ゲームをさせると時々操作方法を聞かれて面倒なので、映像系が一番楽なのだと宋十郎が言った。
こりゃ伊奈さんは来ないだろう。
悪夢のように散らかった後部座席をチラ見し、暁士は思う。
「最近どうしてました」
国道を流しながら、助手席の宋十郎に尋ねる。
「どうとは」
宋十郎は逆に問い返してきた。
「いやー、仕事でもなんでも。最近会ってなかったじゃないすか。憂は何ともないってことですよね。遠夜の奴とかも来てない?」
事情はややこしく奇妙だが、宋十郎と憂は、元は暁士の仕事の客だった。
暁士の職業はスポーツジムのインストラクターだが、彼はもう一つ、法的に登記できない仕事を持っている。
仲のいい友人でもごく一部にしか明かしていないが、彼は退魔師というやつをやっている。
とても胡散臭いこの仕事について、彼はウェブサイトを持っていたり自ら営業活動をしているわけではない。
仕事は、人伝に噂を聞いた人間から、彼の親父を通して届く、ごく限られたものである。
以前は彼の親父が退魔師をしていたので、彼は二代目である。
宋十郎は、その限られた客の一人だった。
依頼の内容は、いかれてしまった兄貴を治してくれというものだった。
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