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代わりのカフェラテを小さいトレーに乗せて、自分としては精いっぱい恭しく彼女に差し出した。これをきっかけに何かほかに話したかったけれど、ちょうどカップルが二組入店してきた。
帰った客が置きっぱなしにした皿などを片付けるついでに、ふと黄昏さんのテーブルを見ると、あれから十数分は経ったはずなのに一口も口を付けていないようだった。あまりにまじまじ見ていたらしく、彼女が僕の視線に気付いた。
「あ、ごめんなさい。コーヒーがまずいわけではないの」
カフェラテのハートははっきり白と茶色に分かれていたところがぼやぼやと滲んでいた。
「こうやって、段々色が混ざっていくところを眺めているのが好きなの。夕暮れみたいでしょう」
しかもこの後、砂糖を二本真ん中にかけて、重みで段々沈んでいくのを見届けてから、ようやく飲み始めるのだという。そんな風に飲んでいたなんて、これまで全然知らなかった。
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