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その日は綺麗な夕焼けがリビングの窓から見えた。
僕はリビングのソファに腰掛け、ノートパソコンでメールのチェックなんかをしていた。と言っても重要なメールなんてそんなには来ない。強いて言うなら、会話が無いことを正当化するパフォーマンスとでも言おうか。
紗耶香は僕の位置からちょうど九十度に位置するところに置かれたソファに腰掛けてお茶を飲んでいる。
窓が一直線に見えるその位置で、彼女は窓の外をずっと眺めていた。
不意に彼女が口を開いた。
「ねえ、思い出さない?」
「何が?」
「この夕焼け」
彼女は僕の方を向いていた。言わんとすることはすぐに分かった。
そう、あの日もこんな綺麗な夕焼けだった。
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