夕焼けの思い出

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 だが、当然の話なのだ。  何しろ僕かこの時待っていたのは、学年でも指折りの美人。  それでいて人当たりも良く、笑顔を皆に向けてくれる素敵な女子だった。  その名は古橋舞奈。  もちろん人気は高いが、今のところ彼氏はいないという情報を得ていた。  生物学的には男なのであるし、これはワンチャンあると呼び出しの手紙を彼女の机にそっと忍ばせた。  はす向かいの教室、窓際の後ろから三番目。  古風だと思うだろう。  だが、これしか手段は無かったのだ。  何しろ世にはびこっているのはポケベル。暗号をマスターせぬ者には、メッセージを送る権利すら与えられないのだから。  待つこと多分一時間ぐらい。  教室のドアが開いた。  振り返った僕の目に映ったのは……。
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