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ナイトは黒い馬車に乗って森を出た。
城が遠ざかっていくのがさみしい。
何もかもが思いだされ、何もかも戻ってきたのに、感じられるのは傷のない胸がジクジクと痛むことだけだった。
ナイトは馬車の前に座るパンプキンに声をかけた。
「一つ、教えて」
「なんだ?」
窓の外を見ていた彼女がこちらを向いた。
「城は僕の住んでるところから近い?
また、会いにいける?」
パンプキンは意外そうな顔をした。だが、すぐにナイトに微笑みかける。
ナイトはその笑みに心底落胆した。すると、急に眠気が襲ってきた。
「なんか眠い」
パンプキンの顔が徐々に揺らぎ、肌色と黄昏色の境が曖昧になっていく。
「きっとカモミールのせいだろう。おやすみ、ナイト」
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