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僕がトマトジュースをちびちび飲んでいる間に客が何組か来店した。この店が開いているのは午後五時から午後六時半までの一時間半だけである。怪しい者達と会い見える逢魔が時にだけ開く奇妙な店。外の明るさに反応して自動で鍵が開くようにしよう、と店長がドアをいじって以来五時よりも早く開いていたり五時になっても開いていなかったりしているが、果たしてその改造に意味はあったのだろうか。
短い営業時間。もうそろそろラストオーダーだ。
「ごちそうさまでした。また明日も来ます」
「いつもありがとうね~」
店長は朗らかに笑う。とてもかわいい。
「やっぱり面白いお店ってみんな気になるもんだよね。君みたいに若い子がたくさん来てくれて嬉しい。コンセプトカフェにしてよかったな~」
「こんなに短い営業時間で、収入とか大丈夫なんですか」
「こら~。お客さんが、ましてや子供がそんなこと気にするもんじゃないぞ。そんなの知らんぷりしながら楽しんでくれれば私達はハッピーなんだから」
会計をすませ、僕は店から出る。先月から働き始めた新しい店員さんのコスプレ、日に日にクオリティが上がっている。この先が楽しみだ。
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