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なにか腑に落ちないけれど、とりあえずこんな場所で各国の美味しい料理が食べられるというのはありがたいことなので、僕はふたりの言われるがままに、朝食を済ませてから様々な料理の下ごしらえをすることになった。ドレークの所属する団に貴重な食材を持ってきてもらえただけでも、この奇妙な任務を遂行する意味があるってもんさ。
えーと、キャベツを切って酢につけてっと。ニシンもさばいて内臓を抜いてから酢漬けか。豚はオーブンがないから焼豚にするかな。それと果物たちは、12個に全部区切るの!? あ、あれ。やっぱりいつのまにかドレークがぐっすりと寝てる。
「どう、そっちは進んでるかい、手が空いたらこっちも手伝ってくれる?」
力石は相変わらず元気だ。このままだと休みなしに続けそうなので、そろそろ休憩を入れようと言った。
「ああ、もうこんな時間かあ。もうすぐ午後2時になる。しまった、昼飯の時間過ぎているぜ、早く食べなくちゃ!」
力石の頭の中には完全に料理と食べることしかないな。そんなに美味しい料理食べたいなら調理班に手伝ってもらえばいいんじゃ。あと他の準備は大丈夫なのだろうか。
「ねえ、力石。調。」
「みなまで言うな、簡単な料理だけ俺らでやって、あとは調理班に任せているから。コテキーノ・コン・レンティッケなんか、どんな料理なのかもわからねえけれど、ちゃんと肉挽きからやってくれてるし、豚はドラム缶の中で丸焼きだ!」
「丸焼き!? 気合い入っているねえ。あ、今焼豚作っているんだけど、どうすれば。」
「焼豚は正月に持ち越しだな。おっと、無線が入ったぜ。」
“Hello everyone, happy new year!”
「ああ、アムンゼン・スコット基地はもう新年を迎えたんだね。ていうか、無線はドレークに用事があるんじゃない?」
僕がそう言うと、力石はドレークを叩き起こしに行った。
「オオウ Sorry。ネスギチャッタデス。」
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