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次の日の朝、海へ小瓶を流した。波の中で手を離すと、波はすぐに瓶をさらっていった。瓶が放つ不自然な光は、あっという間に見えなくなった。
夕方、沈みゆく太陽を、いつものように、ぼんやりと眺めていると、視界の下の方に、昨日と同じ、不自然な反射が流れて来た。今日は、麻縄と紙を買って帰った。
手紙の主は、月山ミカゲ、という女の子だった。年は十五歳で同い年。好きなことは歌を歌うこと。好きな人は教えてくれない。そして彼女は、僕と真逆の世界に住む、月の一族だった。
いろいろなことを話していくうちに、僕は、彼女に恋心を抱いた。
彼女の内にある、透明で美しい心に、僕は惹かれていた。
どうか、消えないでほしいと願っていた。
消えてほしくなかった。
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