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 いい中年女が恋するなんてちっとも綺麗な話では無い。あり得る事なんてない。まかりに間違ってた恋をしたとしても私は主人と離れる気は全く無いのである。 私は居間でテレビを見ている主人の所へ行って顔をじっと見た。キョトンとして私を見返してくる瞳。可愛い。私は数か月前、N会病院に行く際、貧血でオンブをして貰った時のことを思い出した。死にそうな私を背負ってくれた背中の温もり。 今夜も主人にぴったりくっついて寝る事にしようと思う。今日だけ泣いている涙が見えないようにしなくては。そう思った。  達哉さんの『断酒ノート』は押し入れの陰にそっと隠しておこうと決めた。見つかってもやましい事はないけれど。 隠す?そうだ。入院時に書いた『私がお酒を飲むようになったきっかけ』あれも隠さなくてはいけない。”思い出したくもない忌々しい過去”が書かれている。  そうか!もう一つ大事な事があった。私はまたもや寝室に行ったのであった      終わり
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