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私は「うん。今日は食欲がないよ。でも美味しい。食べてみる?」と言い、席をたって主人と代わった。
もう一度談話室の入院患者を見回して見るとどうやら皆、普段着を着ている。ジーンズ、スカート、スウェット、様々だがパジャマを着ている人はいない。私は「しまった」と思った。病院に入院という事でパジャマしか持ってきていない。後で主人にお願いしなくては。そう思った。そんな事を考えていると主人が食べ終わって
「美味しかったよ。夜からはきちんと食べないとダメだぞ。普通の体重に戻さないとな」と言いながら配膳棚へ食器をさげた。そう私はアルコール依存症の上に摂食障害、その中の”拒食症”なのだ。入院時の体重測定では四十一キロであった。身長が百六十センチあるのでちょっと細すぎる。アルコール依存症が重要だがそれと共に摂食障害も治していきたいというのが理想の入院である。
食事が終わり個室に戻り、入院に必要な物を考えていると、看護師さんから呼び出しがあった、夫婦二人、呼び出された『面談室』とかかれた部屋に行く。すると先程の女性医師と初めて見る看護師さんが待っていた。
「今日から私が内藤さんの担当をする看護師の北原です。宜しくお願いします」
看護師さんが柔らかで優しそうな表情で挨拶をしてくれた。私よりは少し年齢が上だろうが、ふくよかな美人看護師さんだ。私は内心ホッとした。荷物チェックの時に怖い看護師さんがいたからだ。
それから入院に関する説明があり。もろもろの書類にサインをしたり、入院に関する案内や注意の話しがあった。私は
(頑張って、まずはお酒をやめよう。そうして体重も増やして、早く退院しよう。一か月位かな)なんて軽く思っていた。すると医師から「アルコール依存症は基本的に三ヶ月間は入院して頂きます」と言われてしまった。私はビックリして何か反論しようとしたのだが、無理なようだ。
「三ヶ月しないとお酒が完全に抜けません。お酒抜けるその間アルコールに関する勉強をして貰います。それから自助グループというのにも繋がってもらいますからね」
嗚呼、最悪だ。
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