54人が本棚に入れています
本棚に追加
私は長くても一ヶ月位を想定していたのだ。今まで身体を壊して入院したが経験はあるが三ヶ月は長すぎる。この後どんな仲間や入院生活が待ち受けている事だろう。想像する事もできない。
まず、入院仲間や看護師さん達と上手くやっていけるのだろうか。なぜなら私の性格は皆で井戸端会議など、集団で集まるのが苦手な所がある。昔から一人孤立するタイプで、学生の時は女性同士のグループで集まるより、一人図書室で本を読んでいる事が好きだった変わりものである。社会人になってからも仕事は図面書きで、いわゆるCAD というパソコンソフトをつかって黙々と一人集中して図面を書く仕事をやっている。はっきりいうと団体生活や人間関係を上手く築ける自信がない。
またもや入院した事が不安になりはじめた。しかしもう遅いようだ。何故なら先程サインした書類には医療措置入院という形の入院になっていた。これは説明によると本人の意思では退院出来ない入院形式らしい。この医療措置入院が終わると、任意入院となり自分の意思が尊重されるらしいのだが何時の話になるやら解らないらしいのだ。それに自分自身でも心の底からアルコールを止めたいのである。止めたくても止められない。毎日浴びるほど飲んで寝る生活。そんなアルコールに依存している現状をどうにかして治したい。だからこの病院に来たのだ。そんな事をあれこれ考えていたら、面談が終わって、もう夕方になってしまった。主人が
「明日仕事があるし、またすぐに荷物を持って来なければいけないので、もう帰るよ」
そう帰りたい素振りで言う。しょうがない本人曰くじっとしている事ができない性格なのだそうだ。こうなると止めても無理である。面会時間ギリギリまで居てほしかったが、
「うん。今日は有難う。気をつけて帰ってね。また今週の週末に荷物をお願いします」と言い主人を見送る事にした。
最初のコメントを投稿しよう!