後日談⑰ ー拓海ー

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  「結局泥だらけだな拓海、楽しかったか?」  隆成おじさんが聞いてくれる。俺はもちろんと答えた。白いワイシャツには大分泥がはじいてしまっていたが、そんな事は気にならないくらいとても楽しかった。 「あの後、もう一人の見学者の子は帰っちまったらしいぞ。どうやらあの父親に無理やり連れて来られたらしい」 「そうなんだ」  確かになんか嫌々って感じだったもんな、あの高石ってヤツ。 「どんな家にも事情はあるんだろうがな。それより拓海は知り合いも出来たみたいだな、絶対他の科に行くなとか念を押されていたな」  亮さんと田代さんだ。田植えは殆どこのふたりが中心になって始まって、中川先生が隆成おじさんと話をしている間に終わってしまった。30人くらいの人数で手植えなのにみんなテキパキしていて、広い水田が本当にあっという間。半端ない手馴れ感だった。  それでも田植え初心者の自分にも分かるようにと、色々気を使って作業してくれた何人もの先輩達。初めての田植えは本当にとても楽しかった。 「あとは勉強を頑張る、やっぱりあの高校が良い」 「そうだな、頑張れ拓海」  お土産にって産みたての卵まで貰ってしまった。きっとばあちゃんが喜んでくれる、食べるのが楽しみだ。 「美音はどうしただろうな」  それは気になる。でも父ちゃんが一緒だからそこは安心だ。 「拓海、腹減ったろ。飯食って帰ろう」  そういやもうお昼を過ぎている、確かに腹が空いた。 「好き嫌いないか?トンカツとかエビフライとか好きか?」 「はい、大好きです」 「よし、あそこに行こう」  さっき子豚達を見たばかりなのにトンカツは何かな。  でも、あとからおじさんに聞いたけど、わざとそういう物を食べさせようと思ったんだって。ひょっとして、俺が豚肉を食えなくなったら可哀想だって。  大丈夫、俺はそこまでヤワじゃない。でも、おじさんの気使いは嬉しい。  おじさんが車を走らせる。車は6号バイパスから鹿島街道という幹線道路に入った。賑やかな通りの大きなレストランに着く。  ちょっと泥のついたシャツを隠すように学生服を着て、おじさんの車を降りた。 cb30c9c9-4946-475d-a182-cd0f0eb8727d かつ丸 30cm越えの大海老フライ 1e9be90c-7d8a-4e0b-9a5a-a0cf271e8841 かつ丸 厚切りとんかつ 食べたい(笑)  
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