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せっかくのゴールデンウィークだから、今日は拓海と美音をどこかに連れて行こうかと思っていたけど急遽予定変更。隣の土地の事で動く事になったから、お相手にお話に行かなきゃ。
昨日のうちに同じ商店街にお店がある莉緒菜に相談していたのよね、そしたら自分も行くって。
緒方さんは莉緒菜の亡くなったご両親ともお付き合いのあった方だと聞いているから、そういう事ならご挨拶がしたいって。
結局のところ莉緒菜にも櫂は息子同然だから、出来ることがあればやってあげたいのよ。
櫂はああだけど(笑)
今回、櫂の仕事の都合もあって、あと三日はこっちにいるからその間に話が詰められれば良いって事だけど。そう上手く行くかしら。
それにやっぱり拓海達に気晴らしをさせたいわ、どこかに連れて行ってあげたい。
「おばちゃん、おはよう」
まだ朝食の準備も終わらない時間、隆成がうちにやって来た。
「あら、早いのね」
「うん、これから一度店の方に行って配達を片付けてくるんだ。それ終わったら山岳と春風をいちご狩りに連れて行く。拓海と美音もどうかと思って」
「まぁ!」
それはきっと喜ぶわ、なんてありがたいの。
「この前、拓海と山岳が行ったいちご農園がこのゴールデンウィークまでなんだってさ。前から春風も行きたいってねだられてたからな」
昼前には迎えに来ると言い残し、隆成は仕事に行った。
「母さん、おはよう。なんか隆成の声が聞こえたんだけど」
ちょっとぼーっとしたままの櫂が階段から降りてくる。朝のロードワークから戻って珍しく二度寝をしていたのよね。
どんなに疲れててもロードワークを欠かさないのは相変わらずだけど。
「これからお仕事ですって、それが終わったらお昼前にはうちの拓海と美音をいちご狩りに連れて行ってくれるのよ」
「え、本当に?」
そうなの、ありがたいわね。
「以前拓海がお世話になった所だよな。母さん、大阪から持ってきた手土産残ってる?」
「あるわよ、余分に買って来たから」
それを持って、隆成にいちご農園の方にご挨拶に行ってもらいましょう。
「それにしても隆成にも秋風にもお世話になりっぱなしだわね、いつかお返ししてあげたいわ」
「そういう事改めて言うと隆成は怒るよ、水臭いこと言うなって」
本当にそういう子ね。
「今度、ちょっといい洋酒でも買って来るよ。どうせこっちに週一で帰って来るんだから、ここで一緒に呑む」
「それが良いわ」
きっとそういうのを隆成は望んでいる。
「お父ちゃんおばあちゃん、おはようございます」
美音が起きてきた、その後ろには相変わらず拓海だ。
「おはよう、もうすぐ朝ごはんだからね」
今日もお前達は楽しく過ごせそうよ。良い事がいっぱいあると良いね。
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