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食事をしながら、俺と美音は今日の事を父ちゃん達に話す。俺の方は珍しい白いいちごを食べさせて貰って、とても楽しかったよ、と。
一応亮さんが農園にいた事や、隆成おじさんがうちが土地を購入した後に、土を入れ替える時は浜田さんが相談に乗ってくれる事を頼んでくれた事などを話した。父ちゃんもばあちゃんも笑顔で聞いてくれている。
でも、隣の土地の購入って、結局どうだったんだろう。
「あのな、お前達に頼みがある…というか。すまんがお前達、二人だけで大阪に帰れそうか?電車と新幹線を使って」
「新幹線?」
どうゆう事だろう?でも、新幹線?それ乗りたい!俺も美音もまだ新幹線には乗った事が無い。
「実は隣の土地の売買の事で、どうしてもやらなければならない仕事が出来てしまってな。父ちゃんはここしばらく福島を離れられなくなったんだ。ばあちゃんも出来れば居て欲しい状況でな。かと言ってお前達は学校があるから大阪に帰らないと、けどな…」
「大丈夫だよ父ちゃん!俺たち二人で絶対大丈夫だから!!」
つい元気よく言ってしまった。美音を見ると、美音もワクワクした顔をしてる。
「そ、そうか?すまんな拓海、美音」
「大丈夫だって父ちゃん」
俺と美音は逆にワクワクしてるよ。二人だけでちょっとした旅行だ。
「どうしても土地の売買まで一気に話を持って行きたいからな。出来るだけ急ぐつもりだが、最低でも1ヶ月位は掛かると思う。その間なるべくこっちにいないと不味いんだ」
父ちゃんは珍しく心配そうだ、多分、俺じゃ無くて美音が心配。
「じゃあ、余計に頑張ってよ父ちゃん。あの端っこまでうちの土地になるなら俺も嬉しい」
結構な広さだ、きっと色々な農産物が作れる。
土地ってどのくらいの買い物か分からないけど、それは父ちゃんとじいちゃんが頑張ってくれる。
「それは頑張る」
頼んだよ、父ちゃん。
「美音、本当に大丈夫?やっぱりおばあちゃんも一度一緒に大阪に帰ろうか?」
この家も絡んでいるから、色んな段取りにばあちゃんもいた方が良いらしい。けどばあちゃんは父ちゃん以上に心配そうだ。
「大丈夫よおばあちゃん、拓海が一緒だもん。ちゃんとお父ちゃんが新幹線の乗り方も教えてくれるだろうし」
「チケットは明日買ってやる。もうネットから予約してあるから常磐線と新幹線を乗り継いで帰るんだよ。東京乗り換えでかなりの時間の余裕を取るから二人で遊んでこい、駅ナカとやらで色々冒険出来るらしい」
父ちゃんの言葉に余計楽しみが増えた。ばあちゃんはまだちょっと心配そうだけど。
「そう?でもちゃんと拓海と手を繋いで歩くのよ。分からない事があったら駅員さんに聞くのよ」
「美音も拓海も父ちゃんの名刺を持って行け。何かあったら駅員か警察官を見つけて、電話を掛けてもらうんだぞ」
本当に大丈夫だって…
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