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程なくあいらちゃんも学校から帰宅。
美音が居間にいるのを見て、その背中に抱きついて喜んでいる。三人でお絵描きがとても楽しそう。
「あら」
夕方の5時近くになり、スマホに櫂からのメールが着信だ。このマンションの駐車場に着いたという。
「美波さん、そろそろうちのダンナが来るわ。大丈夫?」
「ええ、もちろん」
櫂は私達のお迎えも勿論だが、本当はあいらちゃんの様子を見に来たのだ。
あいらちゃんがイジメで不登校になり、学校を転校してから半年。櫂は美音の受診に合わせて、偶然を装って月に一度は美波さんのお家を訪れている。
「本当にありがたいわ」
あいらちゃんにとっても赤ちゃんの頃から知っている櫂おじちゃんだ、特に緊張は無い。
どんな事からも子供達を守っていくという櫂の弁護士としての立ち位置には、相変わらず何の揺るぎもないのだ。
「あ、おじちゃんだ!」
玄関に櫂の姿を見つけたあいらちゃんが出迎えてくれる。
その笑顔を見た櫂が、ほっとしたようにあいらちゃんの頭を撫でた。
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