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「えーやだやだ、俺こんなイケメン君と一緒にいたくないわー。信じらんないわマサハルくんの裏切り者ー」
「待て待て待て待て。落ち着けよミツオ。とりあえずコーラは振るなし」
無意識に振り続けていたコーラをマサハルに恭しく献上する。
フリをして、ミツオは「オラーっ!」と叫びながらマサハルの顔の前で蓋を開けた。
独特の赤みを帯びた黒い液体が勢いよく噴き出し、マサハルの目を直撃する。
「イダダダダ、何すんの!」
「死ね! この世の負をすべて背負って死ね!!」
「悪魔かお前は」
マサハルは手の甲で目をゴシゴシとこする。
「ねえ、どんな子だったの? どんな子だったの? 教えてよ〜!」
「どんな子って言われても、わかんねーよ」
「は? なんでわかんねーの?」
「そん時、ふざけてマスクでメガネのフリしてたから」
マサハルはくしゃくしゃの不織布マスクを制服のポケットから取り出し、口ではなくて目を覆った。
「こうやって」
「何してんの」
「いや、暇だったからなんとなく。意味はねえよ」
「バカじゃねーの? ああもうやだ! なんで俺こんなバカに負けたの? 自分が情けないわ!」
しょげるミツオの肩に、ポンとマサハルの手が置かれた。
「ごめんな、ミツオ」
「真顔で謝るな! 余計傷つくわ!」
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