サツマイモが重かったから

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 女子の高い声に、ミツオとマサハルは動きを止めた。  二人が同時に振り向けば、そこには黒髪ロングで色白の可愛らしい女子高生(JK)が立っていた。制服は二人と同じ薬師寺高校のブレザーだ。  彼女のもじもじした態度で、ミツオはすぐにピンときた。  彼女がきっと例のラブレターの差出人にちがいない。 「お取り込みのところを、失礼します……」 「あっ! い、いいえ! 取り込んでません!」  ミツオとマサハルは自分たちがまだ抱き合っていたことに気づき、慌ててお互いを突き飛ばすようにして離れた。 「も、もう、何やってんだよマサハル。彼女が来たぞ、ほら!」  大量のサツマイモが入った重いカバンを持ち上げ、ミツオは大股でその場を離れた。  公園の出入り口でそっと振り返れば、もじもじと俯く彼女と、クールな顔をした友人が向かい合っていた。  少しの羨ましさと、嫉妬と、そしてなぜか誇らしい気持ち。  あんなに可愛い子が自分の友人を選んでくれたんだと思うと、コーラのように甘酸っぱい思いが胸の奥から湧き上がり、ミツオの瞳をシュワシュワと濡らす。 「あっ……ありがとうございます!」  明るく弾んだ声でマサハルに頭を下げた彼女を見て、ミツオは微笑んだ。 「良かったな、マサハル……」
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