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ミツオは二人に背を向け、イチョウの降る広場を出ようと歩き出そうとした。
その時だ。
背後で足音がしたので振り向くと、彼女が猛ダッシュでミツオのいる方向へ走ってくるのが見えた。彼女の手にはマサハルが受け取ったはずのラブレターが握られている。
「な、なんだなんだ⁉︎」
ゲルマン民族もびっくりの大移動に、ミツオは思わず固まった。
なんであの子がラブレターを持ってこっちに?
まさか、あのラブレターを渡す相手を、彼女は間違えたのか?
そしてその本命は、まさかの……俺ええええ⁉︎
と思ったのもつかの間。
「どいてください!」
出入り口で立ち止まっていたミツオの横をすり抜けて、彼女は公園を出て行った。
触れてはいなかったが、風圧でミツオは吹き飛ばされ、広場の砂に手をつく。
「えっ? え、なにこれ」
彼女を見送ってからゆっくりマサハルの方を見ると、この世の負の全てを背負ったような低い姿勢でベンチに腰をかけている彼がいた。
「ええええ? なに、どうしたの?」
ミツオはダッシュでマサハルのもとに駆け寄る。すると彼はハニワのような顔をして言った。
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