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何が起こった? そう思い、何とか首を動かしてドアの方を見る。
……見えたのは、小さくなっていく町々だった。
牛丼屋が、ロケットのように空を飛んでいる。
「ちょ、ちょ、ちょちょちょ!!! 店員さん! これどういうことなの!!?」
「テイクオフでございます~」
「いやテイクアウトの言い間違えです! これどこに向かってるんですか!!?」
「もちろん、宇宙でございます~。今、地球に向かっている小惑星にビーム砲を配達に参ります~」
「いや俺聞いてないんだけど!!! さっきのはただの言い間違え」
「黙れ!!!!!!」
店の中に、男の怒号がこだまする。
見ると、チーズ牛丼を片手に持ったデブが顔を真っ赤にしてこちらを睨みつけている!
「お前は乗り掛かったんだ! 人類を救うミッションに!」
「もう俺たちしか人類をッ! 救える人間はいないんだッ!!!」
「いや、だから俺は巻き込まれただけ」
「黙れ!!!」
「お前は乗り掛かったんだ! 人類を救うミッションに!」
「もう俺たちしか人類をッ! 救える人間はいないんだッ!!!」
ああ、こりゃダメだ。何言っても聞かないだろうし、ここまで来たらもう家にも帰れない
「お客様~どうぞ、これを着てください~」
店員のおばちゃんが、綺麗に折りたたまれた服を差し出してくる。
「これは?」
「酷環境適応スーツでございます~。これを着れば、どんな環境でも快適に過ごすことができます~」
着ると、それまで感じていた重力が地球にいる時のそれと同等になった。かなり着心地が良い。周りの人々もそれに着替えたのを見て……
俺たちなら、人類を救えるのではないか? と思った。
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