【第一話】魔法の素質

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【第一話】魔法の素質

 僕は衝撃の事実を知った。この世界には、本当に魔法があったんだ。だけど、僕の想像する魔法とは違っていた……  受験勉強に追われる中学三年生の冬。突然、我が家に似つかわしくない来訪者が現れた。 「政府高等学校教員の真鍋と申します。是非、息子さんを政府高等学校にと、お願いに上がりました」  ビシッとしたスーツ姿の美女が頭を下げ、政府高等学校の名刺を差し出す。父さんと母さんは声を発せず固まってしまった。政府高等学校とは、選ばれた子供の推薦入学のみで編成されている政府公認の学校だ。歴代の総理大臣や重要な官職に就く人物も、この学校の卒業生が多い。詳しい内容は非公認だが、未来を約束されたエリートが通う学校なのだろう。そんな学校に平凡な僕が推薦されたのだから、親が固まってしまう意味も分かる。 「柊慎吾(ひいらぎしんご)君は政府高等学校に入る素質を持っています。輝かしい未来を掴むため、決断をお待ちしています」  信じられない言葉を残し、真鍋さんは必要書類を置いて帰った。学費やその他諸々の費用が無料らしく、断る理由も無い。僕は平凡な高校の入学試験を辞退させられ、謎だらけの政府高等学校へと入学する事になった。 ※※※
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