既成事実

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バスルームから出ると脱衣室には下着は同じだけど、着ていた服の代わりに真新しいドレスが置かれていた。 怜様が選んだと思われるドレス。 下着姿では彼の欲望を煽るだけ。彼好みのドレスを着るのは抵抗あるけど、仕方がない。 私は渋い顔でドレスを着た。 私の体型にジャストサイズのドレス。 私は鏡を覗きながらドライヤーで髪を乾かした。 「随分と念入りだな。紗月」 彼は馴れ馴れしく名前を呼び、私の様子を見に来た。 彼は新しいスーツに身を包んでいた。 「そのドレス…サイズはピッタリだな…」 「みたいです。貴方の好みですか?」 「・・・あぁ…君に似合うと思って買った…」 彼の言葉はいちいち私の心をキュンキュンさせる。 女性の喜ばせる術を知る彼にお礼なんて言えば・・・全てを許したコトになる。 私は何も言わず、ひたすら髪を乾燥させた。 「リビングに戻ったら、今度こそサインして貰うぞ…紗月」 そう言い捨て、彼は出て行った。
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