ヤキモチのその先に

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「なるほどな……1部屋か。」 「今、もう1部屋空いてないか確認したんですけど、今日はもう予約埋まってるらしくて……同室なんですがいいですか?」 「あぁ、それは構わないが……」 すみませんと謝りながら再度フロントの人とやり取りを始める昂哉を後ろから眺める。仕事の時間内ではあるが、恋人と同じ部屋に泊まるなんて嬉しすぎて無意識に口角が上がってしまい緩む顔を抑えきれない。 昂哉と僕、優輝はいわゆる社内恋愛をしている。サラリーマンという職業柄、出張などもありこうして一緒に出向くことがある。それだけでも嬉しいのに、今夜は部屋も同じなんて嬉しい以外にあるわけが無いのだ。 付き合いたての学生でもあるまいしと思いながらも、こんな真面目に誰かと付き合うなんてのは学生以来でなんとなくソワソワする。 社会人になり、ようやくまともな恋愛をして昂哉と付き合う事になった。今までの恋愛については思い返したくない事だらけだったから、余計にそう思うのかもしれない。 恋人とこうして二人きりで過ごせるなど浮かれないはずがなかった。だが、まだ仕事中だと自分に言い聞かせながらにやけそうな自分に喝を入れる。
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