ヤキモチのその先に

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(仕事中だ、気を引き締めろ!) そんな事を思っていると不意に昂哉の声が聞こえた。 「あの、先輩?」 「な、なんだ?」 「チェックイン済みました。」 「あぁ、ありがとう。部屋はどこだ?」 「1305号室です。」 「分かった。」 気合いを入れ直したが、まだどこか浮き足立ってる自分を見られたくなくてエレベーターの方へとスタスタ歩き始めた。 「ちょ、先輩待ってくださいよ〜!」 そんな事はつゆ知らず、昂哉はニコニコと後ろをついてくる。 「ったく、浮かれやがって。まだ仕事中なんだから気をつけろ。」 なんとか平静を保ち自分にも言い聞かせるように注意する。 「はーい。」 それでも嬉しそうにしている昂哉。あるはずが無いのだが、何となく、しっぽを振っているように思えた。 「その緩んだ顔、どうにかしろ。」 「はーい。でも、ちょっとラッキーでしたね。俺先輩と同じ部屋なの嬉しいです!1晩一緒に居れるから幸せだな~。」 「うるさい、それは今ここで言うことじゃないだろ!」
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