ヤキモチのその先に

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頬を赤らめながら控えめにそんな事を言う。 「俺はウェルカムですよ!」 「俺が持たねぇの。こんな、気持ちいいの何回もしたら死ぬっつの。」 あっさりと気持ちがよすぎる事を口にしている事は無意識だろう。これだから優輝は凄い。 仕事や、自分、もちろん他人にも厳しく、与えられた以上の結果を残す。負けん気が強いくせに、寂しがり屋で、潔が良いのはいい事だが、それと同時に諦める事も早い。そして、恋人同士の営みでは乱れながらも相手を満足させるその身動きと艶やかさ。 儚さと色気と男気と奥ゆかしさを持ち合わせたようなそんな優輝の事だから洸哉は惹かれたのだ。 「……だから好きなんだよな。」 洸哉はポソりと呟いた。優輝にも聞こえたようだが、話が繋がらずなんの事やらと首を傾げる。 「なんでもないです。さ、お風呂入りましょ!」 洸哉やヒョイっと優輝をお姫様抱っこしてバスルームへと向かおうとする。 「いや、だからそれはいいって、おい!聞いてんのか?」 優輝は抵抗の意味で足をバタバつかせる。洸哉はニヤニヤと笑うだけで決して譲ろうとはしなかった。
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