ヤキモチのその先に

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昂哉は焦った様子で弁解を述べる。 「なんでもないって何~元カノに失礼じゃい?」 「そんな訳あるか、もうとっくに別れてるし関係ないだろ。」 「ふ、ふーん付き合ってたんだ……」 あぁ、やっぱり。この距離感はそうだよね。何も無い方がおかしい。昂哉は自分と付き合う前までは本当にノーマルで、普通に女の子が好きだった。そんなこと分かっていたはずなのに。 いざ、昔の恋人とこんな至近距離でいるのを目にすると胸になにかつっかかりを覚えてしまう。誤魔化すようにグラスに残っていたビールを一気に飲み干す。 「ゆ……先輩……?」 「そうなんですよ~コイツってば女の子にモテるくせに奥手でなかなか手を出して来なくて~」 奥手……?そんな話は聞いたこともないし、見たことも無い。 俺にはガンガン触ってきたり好きだのなんだの言ってくるくせに……そんな昂哉を俺は知らない。 「もう……いい……」 昔の話を聞けるのは知らない昂哉を知れるいいチャンスだと思った自分が浅はかだった。こんな思いをする事になるなんて……うっすら目じりに涙が浮かんでしまう。 「へ?先輩さんどうしたんですかー?」
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