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首筋に埋まる顔と、落とされるキスにくらくらする。
鶯くんのことは好きだけど、好きだけど……違う。やっぱり、こんなのおかしいよ。
「……やだっ!」
きっと矛盾しているだろう。頬を赤らめながら、涙をためて必死に抗う姿は、理性を失った眼には映らない。それでも、私は鶯くんを否定する。自分の中に流れる穢れと一緒に。
手が滑って、鶯くんの頬に爪が当たった。引っ掻き傷をつけてしまい、じわりと血が滲む。
「ごめん」
口を開いたのは、私を見下ろす鶯くんの方が先だった。
私も謝ろうとするけど、声は出ない。乱れた息を吐くだけで、物音すらしない部屋は生きた心地がしない。
そのうち鶯くんの頭が落ちてきて、コトンと首の中に埋まる。今度は、抵抗しなかった。さっきまでの荒っぽさや危機を感じなかったから。
「ごめん」
もう一度つぶやいて、頭を優しく撫でる。泣いているような声は、今にも消えてしまいそうだ。
「……鶯くん?」
さらさらと髪が頬をくすぐる。同じシャンプーの匂いがして、胸の奥がギュッと苦しくなる。
藤春くんの時とは少し違う。恋焦がれる愛おしさではなくて、これはーー。
「茉礼、どこ見てる? 頼むから、僕だけを見てて。どこへも行かないで」
声を震わせながら、覆い被さったままの鶯くんが私を抱きしめる。まるで、小さな子どもが姉にしがみついているみたいだ。
もしかして、昔のことを思い出しているの?
私か彼のすべてになれたら、救われるの?
どうしたらいいのか。考えても答えは出ない。
ただ、私に今できることは、こうして背中をさすってあげることだけ。
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