11. 鳥籠の鎖は闇に堕ちて

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「学校から近いわけでもないのに、こんなところで会うとか、すごい偶然だよね」 「ほんと、びっくりしました」 「なんか……運命感じちゃうなーーって」  ボソリと聞こえた言葉が、頭の中でリピートされる。 「……え?」 「あ、いや、なんでもない。今の忘れて」  ほんのり赤らんだ白い頬を、藤春くんが隠す。反対を向いた耳まで、霜焼けのように真っ赤だ。  女の子慣れしている藤春くんがこんな反応をするなんて、可愛らしい。もっと近づきたい。  けれど、これ以上はいけないと、触れそうで触れない距離の手を膝の上へ引いた。チラリと見える手首の痕跡を、コートの袖へ埋めて。  突拍子もなく、ヒヤッとする。俯いて垂れていた前髪が耳へかけられ、露わになった頬に親指が触れていた。 「こんなとこ擦りむいてる。血が」  撫でるように拭われる肌が、氷によって熱を帯びていく。 「あ、ごめん。つい」  藤春くんの手が離れたとき、ブルーのパワーストーンが見えた。魔除けとして渡したブレスレットを、使っていてくれたのだ。学校では、一度も見かけたことはなかったのに。  それと同時に、別の(あと)もあった。白い肌に目立つひび割れのようなもの。青を深くしたような、不思議な模様だ。  すぐに隠れてしまったから、はっきり見えたわけではない。あれは、なんだろう。 「呪いって……どうなったんですか? ほんとに、もうなにも……?」  足首が疼く間だけ。帰れない今だけなら、話していられる。 「進行してるかってこと?」 「……はい」 「さあ、どうだろうね。本物の恋を見つけたから、たぶん大丈夫なんじゃないかな」  本気か冗談かわからない笑い方をして、藤春くんは腰を上げた。  待って。引き止める理由などないけど、つられて私も立ちそうになる。 「俺のために死んでって言ったら、青砥さんは死ぬの?」  振り向いた藤春くんが、そんなことを口にした。さっきとは違い、目が真剣だった。 「……えっ」
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