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車は三方向を、オフィスビルで囲まれた小さな駐車場に泊まっていた。エンジンがかかっているが誰も乗っていない。辺りを見回すと、防犯カメラにことごとくペイント弾の跡がある。車を用意してくれた人がやったのか。
車のドアを開けてエンジンを切る。車内は特別何かを手配してくれている様子はなかった。車内で少しスカートを短くてする。出来るだけ露出を高める。こんなので本当に釣れるか心配になってくる。
念のため毒針のついたピアスをつける。針の部分は小さなビニールのチューブに包まれており、誤って刺さる事はなかった。車が到着するまでに買っておいたワインを後部座席の床に置く。
ポーチのなかから、注射器と瓶に入った液体を確認する。今から人を殺す。私の不注意で。情報の中身は知らないだろうけど、彼は死ぬ。これは事故なんだ。交通事故や病気と同じ。予測不能で突然襲ってくる悪夢と同じ。私のせいじゃない、そう思い込もう。
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