弟の悦び

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「辰之、なんて顔してんだ……」 「あ、兄貴?」 「物欲しそうな顔しやがって。ナカに出してほしかったんだろ」  弟が考えそうなことを口にした途端に、太ももにぎゅっと縋りつかれた。 「兄貴こんなことしたらの太くて硬いの、ほしくなるに決まってるでしょ。僕だって気持ちよくなりたい」 「なに言ってんだ、おまえ。好きでもないヤツとそんなこと、ヤるわけないだろ」  縋りついた弟の両腕を手荒に振り解き、強引に床へ押し倒した。 「俺のがほしけりゃ、せいぜい今のように奉仕してから、頭を下げてお願いしてみろ。気が向いたら相手をしてやるよ」  無様に横たわる弟の下半身を、足で容赦なく踏みつけてやった。そこはカタチがすでに変わっていたため、かなりの苦痛を与えたことになる。 「いっ、いたぃっ!」 「おまえには足で踏みつけて感じさせるご褒美で、ちょうどいいだろ」  荷重をかけた足裏を、ちょっとだけ左右に動かしてやる。 「痛っ! はぁっ、兄貴っ」  下半身を踏みつける足に、弟は震える両手をかけて退かせようとしつつ、小刻みに腰を上下させた。しかも口の端からヨダレを滴らせる姿に鳥肌が立つ。 「おまえ、こんなことされて感じてるのかよ。この変態!」  より一層荷重をかけたあとに脇腹を蹴りあげ、さっさと下着を身につけ制服に着替える。弟は声を出さずに、くの字に躰を曲げて痛みに耐えているようだった。 (苦痛を与えたはずが、なぜだか悦ばせてしまった……。これじゃあ嫌われるどころか、さらに好かれてしまうだろ) 「兄貴、もうおしまいなの?」  蹴られた脇腹を押さえたまま上半身を起こした弟の顔は、白濁とヨダレで汚れたままで、わざとその状態をキープするメンタルに俺は顔を歪ませた。 「辰之とはしないって言っただろ、しつこいな!」  素早くカバンを手にして、弟から逃げるように保健室をあとにした。帰り道は嫌われる作戦その2を必死に考える。  俺よりも狡猾で弟を手篭めにできる知人に、協力をお願いすることにした。
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