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「タイムマシンと幽霊? どういう関係?」
はぐらかす気だなと怒りぎみにつめよるぼくを、
「まあまあ。名は体をあらわすとはいうけど、とりあえず馬耳東風にならず話を聞いてよ」
と、ハカセは視線をそらさず笑顔でいなした。つられて、ぼくも口もとが弛む。ほとんど苦笑いだけど。
「で、幽霊を目撃する人ってなぜか一定数いるでしょ?」
「ん、まあ。ぼくは見たことないけど、たしかにちょこちょこいるな。そんなホラー系の怖い話もいろいろあるし、それこそ学校の怪談とか」
「そうそう。幽霊の目撃談だけじゃなくって、最近は心霊写真とか流行ってるしね」
なにげなく撮ったスナップショットや記念撮影用の集合写真などに、偶然この世のものではないものらしき影なり一部分なりがうつりこんだ、いわゆる「心霊写真」とやらが世間でいま盛んに、メディアに投稿されている。
「あれってさあ、むかしっから根拠なくよくいわれてるでしょ。死んだ人の躰から抜け出した魂だとか、亡くなった人間が化けて出た怨霊や妖怪だとかって」
「背後霊やら、地縛霊やら、たしかになんか、たくさん種類あるよな」
「そ、おまけに霊感あるなしで、視るとか視ないとか」
「それでいうと、ぼくはぜったい霊感ないほうだな」
オバケもモンスターも漫画やテレビやゲームでしか、とんと見たことがない。
「や、ユウマ。それがちがうんだよ。幽霊って心霊現象なんかじゃないんだよ。幽霊ってじつは未来からタイムスリップしてきた人なんだよ」
「え、ど、どういうこと?」
「未来からタイムマシンでやってきた人なんだ」
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