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天気予報によると今日の最高気温は38℃だそうだ。芝生は涼しそうだと勝手にイメージしていたがとんでもない。土の湿り気が舞い上がった蒸し風呂のような暑さに汗で濡れたシャツが肌にはり付く。
合成ゴムでできたトラックの上を走る選手たちはさらに過酷な暑さを感じているだろう。
—まぁ、俺には関係ないけど
さっさと家に帰って買ったばかりのプレイステーション2をプレイしたかった。
その時、歓声がわっと大きくなり、目の前のトラックを長距離走の選手たちが塊となって駆け抜けて行く。
「よくやるなぁ、このクソ暑いのに。」
すっかりぬるくなったコーラをもう一口飲んだ時、耳をふさぐ歓声に紛れて誰かの呼ぶ声がした。
「あれ、もしかしてゴっちゃんじゃない?」
他校のジャージを着た女の子が圭吾の顔を覗き込んでいる。
細く高い鼻に一重の黒目がちな目。全体的に贅肉の少ないほっそりとした顔に刻まれた深い笑窪。
誰だ?けど可愛い。かなりタイプなんじゃないか。
その子が同じマンションに住む幼馴染と気づくのに少し時間がかかった。久しく顔を合わせてはいなかったが、なんですぐに気づかなかったのだろう。中学時代の時と違って、髪を後ろで束ねていたから?
「あ、もしかして、アッコか?」
「ちょっと、やめてよ、その呼び方。恥ずかしい。」
アッコこと真山絢香は照れたように笑った。
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