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それは恋と呼ぶには少し色っぽさが足りなくて、憧れと言うとひどく幼い気がする。
ただ、圭吾の目はトラック1周400メートルを58秒で駆け抜けぶっちぎり1位でゴールした絢香に釘付けだった。
さっき二言、三言話した幼馴染がまるで別世界の住人のように感じてしまう。
今、絢香の耳はどんな音を聴いている?
目はどんな景色を見ているのだろう?
まるで自分の手が届かない場所にいる彼女の姿が焼き付いて離れない。
なびく髪、白くて長い足、凛々しい横顔。彼女が駆け抜けた一瞬が瞼に焼き付いて離れない。
ずっと鮮明に焼き付いたまま、
肌が灼けるような日差しの中で立ち尽くした。
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